2014-04-23

エスラジ用ソフトケース(20140416)

→こちらの楽器。
インドのエスラジという名前の弦楽器です。

縦に構えてチェロのように横から弓をあてて演奏します。
奏でられる音色が美しいのは言うまでもありませんが、ギターとかのいわゆる普通の楽器ではコンサートホールとかお風呂場とかの長い残響がある場所でしか得られないような フワーッとその場に充満してから消えていくような音の効果。
そういう効果を自前で持っている楽器です。


共鳴弦を持った多弦ギターやシタールなど撥弦楽器の共鳴と残響の効果は知っていましたが
擦弦楽器でのその効果は絶大なものがありました。
もちろん実際の演奏の魅力は奏者の演奏力によるものがほぼ全部なわけでありますが
今回この楽器の奏者の島田博樹さんに出会い、さらに実器にも触れさせていただき
いつになく楽器自体にも興味津々になってしまいました。

で さらに詳しい奏法や楽器の由来はオーナー、エスラジ奏者の島田博樹さんのホームページに任せるとして、
とても珍しいこの楽器の日常使い用のソフトケースを作る機会をいただきました。



まず楽器型に切った10mm厚のチップウレタンフォームにベロア生地を貼り付け、ケースの形に折るところに折り紙の折筋のようにミシン目を入れます。

弓を入れるポケットはこのあたりかな と。
合わせ目を接着。
軽く固定してボディの丸みに沿うようにします。
今回 接着剤には 接着力が強い割りに固まっても硬くならないシリコンシーラーを使いました。


両脇がだらっとしてしまうのでコの字型に曲げたステンレスステーを3枚 下から入れて接着。
ステーの角でこの後外側にかぶせる表地が痛まないように外側からフリースを貼ってあります。
表地は最初のチップウレタンと同じ型紙にかぶせ部分の長さを足して切って縫製。
かぶせ部分を合わせてざっと包んでみてファスナーの位置を決めます。
かぶせ部分の裏側には
表地とベロアの間全体には5mmのウレタンを、
合わせの外側になる部分にのみ10mmのチップウレタンを挟んで縫い合わせます。

楽器のボディとネックの接続部分の裏側に空間ができるので 取り外しのできるポーチをつけてみました。
このあたりは若干工程写真が割愛されていますが
表地の両脇に持ち手、裏側にストラップと持ち手、
底に合皮を縫い付けました。

その後 内張りを入れて まず淵のあたりで一周表地と縫い合わせてから 裏のストラップの留め位置で内張りにも通すようにカシメをつけています。

裏のストラップの留め位置は内張りの裏につけたステンレスステーに合わせました。

カシメは内張りに接着したステーの穴を通してあり 表地につけたストラップの取り付け部分にかかる力を内張り共々の広い面積に分散させるようにしました。




→この写真での位置関係では、
写真下側のかぶせ部分を下、
写真上側のかぶせ部分を上にしてファスナーを留めます。

このとき 楽器のヘッドとボディの底側は 内側に織り込むようにしますが、織り込むだけでは微妙に心許ないので
ヘッド側とボディ底側につけたストラップで
かぶせ下側の中央で引き寄せて留めるようになっています。
ケース両側の持ち手は
片方が外れるようになっているので
クロスしてつけてもらうと
ストラップで肩からかけたとき
あまりブラブラしなくて良いかなと思うわけです。
そして こんな感じに出来上がりました。




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